日詰小学校わんぱく教室

 毎年日詰小学校の3年生を対象に開催している「わんぱく教室」。例年「橋本善太」の歴史について学ぶとともに、卵を使った調理実習が行われていましたが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響により調理実習が中止。いつもお手伝いに行っていた農政課に「調理実習以外で何か児童たちと楽しい体験ができないか」とのご相談をいただき、日詰小学校へお邪魔してきました。

 当日は、先人顕彰会 内城会長による紫波町名誉町民の「橋本善太」のお話から始まりました。黒板に「橋本善太」と書かれた紙が貼られると、児童たちからは「知ってるー!」「卵の人だー!」の声。さらに、卵の中の仕組みや本物の鶏そっくりな内城会長手作りの資料に児童たちは興味津々!

 「橋本善太」は、数多くの品種改良を続け、昭和14(1939)年に初めて1日1個の卵を産む鶏を完成させました。当時は戦時中で、お弁当にごはんと梅干し一つの日の丸弁当しか許されず、卵は高級品だったのです。内城会長の幼少期の体験を交えながらのお話に、児童たちは、真剣な眼差しでメモを取りながら聞き入っていました。最後に「橋本善太」が、日詰地区出身ということを聞き、その身近さに児童たちは驚いた様子でした。

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 続く農政課からは、農業のまち紫波を体感してもらおうと「紫波の「農」の景色を探しにいこう!」というテーマで授業をしました。

 「農業って何をするお仕事?」と問いかけると、お米を作る人・野菜を作る人・動物を育てる人などさまざまな声。さらに町内に広がる田んぼの景色について、クイズはどんどん続きます。田植えの時期は?田んぼに水が張られる時期は?穂が出て緑色になる時期は?黄金色に輝き刈り取りを迎える時期は?それぞれ農の景色の写真を見ながら、児童たちは季節で変わる田んぼの様子を懸命に思い出していました。また、11月頃お米の収穫を終え、何かを作付けしている田んぼの景色を見せると、児童たちからは「きゅうり?」「お米!」などの思いもよらない答えが。作付けされていた何かとは、水田の転作作物である小麦です。小麦の収穫時期である6月には町内に小麦の黄金色と米の青々とした緑色の景色が広がることを伝えると、 「知らなかったー!」の大合唱。さらにフルーツの里として有名な紫波町。ぶどう棚やぶどうの芽、りんごの花などの景色にも触れると、こちらは、今年の農業体験で見ていたおかげか、ヒントを出すとみんな正解にたどり着きました。

 最後に授業を頑張った児童たちに、紫波町先人顕彰会から長岡中央果樹生産組合で採れた「黄香」という品種のりんごがプレゼントされました。この日の給食で提供された、甘さに特徴のある王林と、果汁が多く香りが強い黄香。その違いを食べて感じて欲しい、との想いが込められたりんごです。

 東西に広い紫波町。その中央部に暮らす日詰地区の子どもたちにとって、農の景色は新鮮なものだったようです。今回の授業で見た町内の景色のほかにも、たくさんの農の現場と食の恵みが溢れている紫波町。その豊かさ・景色の記憶が、子どもたちに、ふるさとの誇りとして残っていってほしいと思いました 。