長岡中央果樹生産組合のりんご畑に取材に行きました!②

 先月まで行われていた摘花の作業(5月13日掲載)が終了し、次の作業として摘果と薬剤散布を並行して行っていると組合長の森川さんから情報をいただき、取材に行ってきました。

 りんごは開花時に受粉すると結実(花から実になること)するということで、園地にまだ咲いていた花を見つけて、受粉について教えていただきました。「りんごの花にはめしべが5つ。5つのめしべが全て受粉すると種も5つでき、綺麗な丸いりんごになる」と森川さん。5つのめしべが受粉しないと変形の原因になるとのこと。「本当は人の手により受粉させた方が良いのだけど、うちは人手が足りないから受粉はすべて昆虫や風にお願いしている。」と続けて話されました。

実際にりんごの花を摘んでめしべの様子を見せてくださいました

 結実するとりんごは、1つの株から5つほどの実がなりますが、すべて残してしまうと栄養不足となり、大きくておいしいりんごができなくなってしまいます。そのため、5つの実から1つの実を選んで残し、他の4つの実を落とす作業が摘果です。
 今年はたくさん実がなり摘果の作業が大変だとか。

 赤い大きな機械に向かって作業をしている組合の方にお話を伺うと、この機械はりんごの木に薬剤を散布する「スピードスプレーヤー」という機械。ホースを大きなタンクに伸ばし、薬剤を水で溶解中。今回散布する薬剤はこの時期に発生するハダニを撃退するものとのこと。ハダニとは、りんごの葉の裏につき瞬く間に繁殖し、むしゃむしゃと葉を食べ養分の通り道を遮り、りんごの成長に影響を及ぼす虫。クモに分類されるというハダニには、殺虫剤ではなく殺ダニ剤を使用。 スピードスプレーヤーのタンクに、デンプンと殺ダニ剤と水を混ぜ1000L搭載します。殺ダニ剤の効果とデンプンのネバネバ効果でハダニを封じ込め、呼吸を止めるそうです。

デンプンと殺ダニ剤と水を補充しています

 森川さんも薬剤補充開始です。

 そのまえに午後3時からはお楽しみの休憩タイム。じりじりと照りつける太陽のもとで長そで長ズボンを着用し作業を続けるみなさん。キンキンに冷えた麦茶やサイダーで水分を補給しながら、わいわいがやがや世間話で盛り上がったり、パンやお菓子を食べながら楽しいひとときです。今日は15人が集まり、3台のスピードスプレーヤーによる薬剤散布と摘果の作業をしていました。園地全体約16haに散布するためには、スピードスプレーヤー60台分もの薬剤が必要であるそうです。散布後は薬剤を乾燥させる時間が必要になるため、天候にも左右されるので、最終日となる明日は早朝なんと5時から作業の予定なそうです。

 つかの間の休憩タイムが終わり、薬剤散布を見学させてもらいました。スピードスプレーヤーが急な斜面を駆け上がりながら、「ブーーン!」とファンを回して勢いよく薬剤を散布していきます。 あたり一面を真っ白に染め上げながら今度は斜面を下ってきます。 これではハダニも降参です。

 薬剤散布と並行して行われていた摘果の作業は7月末までかかります。早生(わせ)品種の‘‘つがる‘‘ができるまで、あと約4か月。収穫するまでにたくさんの作業があるりんご。今後も取材を続け、皆さんの手に届くまでを追いかけていきます。